いげ日記

外出の記録その他

10/4 美瑛③

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前回のつづき。

「北工房」から「貴妃花」へ向かう道はごく簡単だった。店を出て左手にある突き当たりの小学校を左へ歩くと幹線道路に出る。その道が美瑛川に架かる橋を通っており、道なりに歩き続けば「貴妃花」に着く。ただ、「北工房」のご主人が教えてくれたのは美瑛川を渡りきったあと別の道に入るルートだった。地元の人がわざわざそう言うからには何か意味があるのだろうと思い、ご主人が言った通りに歩いた。

橋の手前までは北海道ではよく見る住宅街の景色だったが、橋の上から見た美瑛川は水が青く天気も良かったので、強い風にあおられながら一生懸命写真を撮った。あとで調べたところによると、私が行き損ねたあの「青い池」にはこの美瑛川の水が混ざっているそうだ。これだけでも見られてよかった。

「北工房」のご主人に教わったように、橋を渡り切ったあと途中で道を左折した。両側が高い木に囲まれており人気もないのでたちまち不安になったが、少しすると左手が開けてきて、絵にかいたような台本通りのような美瑛らしい丘の畑を遠くまで眺望できた。おそらくこれがご主人の言っていた眺めだろう。ここでも何度も写真を撮って、うっかり通り沿いの畑に侵入しそうになったが、畑に踏み込んではいけないという前知識をちゃんと持っていたので踏まずに済んだ。

目的地のあたりにぽつんと小さい家が見えた。多分都内にあればかなりでかい部類とは思うが、この広大な土地で見ると小さい気がする。違ったら気まずいなあと思いながら雨でぐしょぐしょの敷地を進み、「OPEN」の看板を見つけた。

ドアを開けたらすぐに奥さんが出てきて案内してくれた。入ってみると中は普通の家のようだった。「自由に見てくださいね」と言われたので、1階の和室、リビング、2階の順に作品を眺めた。作っているのはご主人のようだ。1階のリビングに「北工房」で見たウンチの看板や、色々な形のキーホルダーが置いてあり、値段も手ごろなのでほしくなった。2階には「北工房」のトイレにあった丘の絵が種類豊富に展示されており、これもかわいかったのだが私には高かった。

奥さんがお茶を出してくれたので、座ってそれを飲みながら窓の外の景色を眺めた。さっきここへ来る途中に見たような遠くまで続く丘が、日に当たってもっときれいに見えた。奥さんに話しかけてもらい、「北工房」でここを教えてもらったことやこれから「トムテルム」に泊まることなどを話題にした。そこから発展して、美瑛のペンションでは繁忙期になると泊まり込みのアルバイトの募集がかかるという情報を得て、来年の夏に定職に就いていなければやりたいなあなどと考えた。

手元に置いてあった雑誌を眺めていたら別のお客さんが来た。日が傾いてから歩いてきた道を戻るのは心細いので、そろそろおいとますることにした。例のウンチの看板と、丘の絵に似ているけど丘の絵より安い鍋敷きを購入し、ギャラリーを出た。あわせて4,700円。

帰りは丘が見える道ではなく、橋へ続く幹線道路を通った。さっきよりも民家の多い通りだった。美瑛の建物にはそれぞれに4桁の番号が書かれている。建てられた年だか、住み始めた年だか、そんな意味があるのだそうだ。

駅前の通りでは塩レモンラーメンなるものを出しているお店を見つけたが、残念ながら店主の体調不良で休みだった。稚内の「挽歌」然り、私はこういうのが多い。

昼間よりだいぶ気温がさがってきていて、風もまだ強い。タクシーに乗るべく駅へ向かった。

つづきは次回

 

◆貴妃花

北海道美瑛 手づくり木製品 Rustic 貴妃花